■モロッコのエルアノーウイ■
今大会多くのテニスファンの心を掴んだのは間違いなくエルアノーウイでしょう。この遅咲きで31才の長身オールラウンドプレーヤーは、4回戦で今や若きチャンピオン、地元期待のヒューイットを下し準々決勝ではこれまたアメリカのヒーロー、ロディックとの息詰まる大激戦を演じファイナルセット19-21で惜しくも敗退、しかし、立ち上がって選手を称える全観客の熱狂に全てが表れていました。
エルアノーウイのテニスはとにかく動きと予測が抜群で、ネットについた相手にしてみれば来ると思う方の反対に動かなければパスされてしまう、そんな感じではないかと思うほどです。いつも明るいエルアノーウイですが面白いことがありました。ひとつはテニスシャツです。選手は着替え用のシャツを数枚バックに入れていますが、彼は何とクリーニングに出していたのか針金のハンガーのまま3枚のシャツをバックの横に抱えてコートに入って来たのです。私達が旅行へ行く時に持つハンガーのように。これにはエッと思いましたが直に微笑ましくなりました。こんなのを見たのは勿論初めてですが多分もうないでしょう。もうひとつは薬です。それが何かは判りませんが試合後半からビニールの袋を手にかぶせその液体らしきものを足に常に塗り続けていました。モロッコの秘薬かとも思いましたが、長丁場自分の足を知り尽くしての用心の深さに単にベテランとはいえない深さを感じました。私はオーストラリアの人達同様この明るいエルアノーウイの大ファンになってしまいました。
(JAN 26 '03 柳 恵誌郎/AUS open)